シロアリ駆除とは、家の中に侵入しているシロアリを駆除することを意味します。
シロアリ被害を未然に防ぐシロアリ予防とは区別します。
両者を合わせてシロアリ防除と呼ばれます。

シロアリ駆除・予防の方法

地下シロアリの防除方法
駆除建物全体土壌処理(トレンチング処理含む)
スポット薬剤処理:木部処理(表面処理・注入処理)
非薬剤処理:電気ショック,マイクロ波,線虫,寄生虫,被害木材の交換
個体数制御薬剤処理(ベイト工法):代謝阻害剤,昆虫抑制剤
非薬剤処理:線虫,寄生虫(生物的工法)

注入散布処理法

シロアリ防除薬剤を水で希釈して土壌や木部に薬剤の散布注入を行う処理法です。
シロアリ業者では、土壌面と木部面の二段階で障壁を作り予防する方法が主流です。
商品名として、業者によって「バリア工法」、「ケミカル工法」、「シロアリ消毒」とも呼ばれています。

土壌処理

シロアリが地中から侵入してくる性質であるため、地面と面している立ち上がりの部分に薬剤を散布してシロアリの侵入を防ぐ方法です。

木部処理

シロアリ駆除では、被害木材に直接穿孔注入を行い駆除をしていく方法や、シロアリの通り道に遅行性の高い薬剤を巣全体にうまく行き渡らせて駆除法などがあります。
また、シロアリ予防でも、シロアリ被害の多くみられるような場所や土壌処理ができない場所ではあらかじめ木材を穿孔して木材中に薬剤を注入します。

殺虫スプレーは被害拡大につながることも

ホームセンターなどで販売されている殺虫スプレーではかえって症状を悪化させてしまうことがほとんどです。それは、シロアリが数万数十万匹の集団であるため、部分的に殺虫剤を撒いてもその場所には現れなくなるだけで、他の場所へと移動してしまうからです。

ベイト工法

シロアリの生態を利用して巣ごと駆除する方法です。シロアリの職蟻は年に数回脱皮をする特徴があり、職蟻から巣にいる女王王蟻を始め、兵蟻やニンフ階級のシロアリも餌を分け与えてもらい生きています。ベイト工法は、このシロアリの生態を利用して、シロアリが好んで食べる成分と脱皮を阻害させる薬を含んだ固形状の薬剤をシロアリの通り道に設置して数か月間かけて駆除する方法です。固定の巣を持つイエシロアリに対して有効ですが、少数で無数の巣を作るヤマトシロアリに対してベイト工法は有効であると言えません。
(シロアリ予防を行う方法で家の周りに概ね3メートル間隔でステーションを埋めてベイト剤を投入する維持管理型ベイト工法とは区別しています。)

維持管理型ベイト工法

家の近くに近づいたシロアリのコロニーを駆除する方法です。家の周りに概ね3メートル間隔でステーションを埋めてベイト剤を投入し、定期的なモニタリングを行います。
維持管理型ベイト工法のメリットは、作業自体が簡単で薬剤散布に頼らないため、安全性が非常に高いことです。また、構造上、液剤散布による防除作業が困難な物件に対しても有効に活用することができます。デメリットとしては、液剤処理と比べて施工費が割高になることがあります。

ITM(シロアリの総合防除)

画一的な方法に囚われずに、個々の状況を重視して様々な防除対策を組み合わせて行う考え方のシロアリ対策です。
近年、基礎断熱工法など住宅工法の多様化により、シロアリの侵入経路も従来とは異なるケースがあります。このような場合では、個々の建築工法にあわせた新しいシロアリ防除システムを検討する必要があります。
(Integrated Termite Management)

シロアリ駆除は自分でできる?

シロアリ駆除・予防を確実に行うには、「シロアリの生態と特徴」「薬剤の性質」「木材の性質」「建物の関する知識」の他に、実際の駆除の経験が必要です。また、駆除作業を行う前にも「家の構造」「侵入経路」「被害範囲」「シロアリの種類」などの状況を把握する能力が必要です。自分で道具をそろえて駆除の行為自体を行うこともできますが、行き当たりばったりの薬剤散布となり、被害が拡大してしまうことがほとんどですのでお勧めはできません。シロアリの駆除は裏付けとなる知識と経験を持った専門の業者に依頼することが間違いありません。

自力でシロアリ駆除を試みる場合

信頼できるシロアリ業者がわからないので、自分で駆除ができるならと思われる方もいらっしゃると思います。自分でシロアリ駆除を行う場合に必要なことをお教えします。

(1)床下で作業する道具を準備する
防塵マスク、破れても汚れても良い厚手の服(できれば厚手のツナギ服)、長靴、手袋、帽子(頭を覆うもの)、懐中電灯、マイナスドライバー

(2)シロアリ調査を行い状況を把握する
侵入経路はどこなのか、シロアリの種類は何なのか、被害の範囲はどの程度か、床下から作業できない場所はないかなどを確認します。床下に入る前に、水廻りの位置など部屋の間取りを把握し、外基礎など外部からの侵入がないか、また雨漏りが疑われる場所がないかなどを確認しておくと床下での調査がスムーズです。

(3)シロアリ駆除の計画を立てる
シロアリの侵入経路と種類がわかり、家の造りまで把握できたら、どのように駆除を行うのかの計画を立てます。シロアリは数万、数十万匹単位での集団で活動をする社会性のある生き物ですので、侵入しているシロアリの生態の特徴を理解した上で処理を行わなければ再発してしまいます。どのような薬剤を用いるのか、どうやってシロアリを止めるのかをの計画を練りましょう。

【参考:シロアリ駆除剤について

(4)シロアリ駆除の機材を準備する
シロアリ駆除剤にも薬剤を散布・注入する為の道具が必要です。本格的な道具になると、動力噴霧器やホース、電動ドリル、ハンマドリルなどが必要になります。専門業者が使用している機材を用意するのは業者に依頼する駆除費用以上の値段になります。限られた範囲での木部処理であれば動力噴霧器でなくても、手押しポンプでも十分は作業可能です。

(5)シロアリを駆除する
木部処理
特に、床下からは分かりにくい、トイレ、浴室、玄関、勝手口の土間はシロアリの侵入が見られる場所です。目視では確認できない場合が有るため、土間周辺は特に注意しましょう。また、基礎コンクリートにクラックが入っている箇所からもシロアリが侵入するケースが多いので注意します。柾目面、板目面への薬剤の表面塗布、吹付は木材に浸透するのはわずか数ミリ程度です。蟻害箇所や蟻害の可能性が高い場所に関しては必要があればドリルで木材を穿孔して注入処理を行いましょう。

土壌処理
コンクリート基礎や束石、配管などの立ち上がりに対して土壌処理剤を散布していきます。玄関、勝手口、浴室の土間コンクリート部分は白蟻の侵入が特に多い場所ですので、スラブ穿孔による土壌注入処理を行う必要があります。

【専門業者への依頼が安心】
シロアリ駆除は業者に依頼する以上に費用と労力が必要です。また、作業の裏付けとなる知識と経験も必要なため自分で行うのは困難です。
自信がない方は当社がシロアリ業者選びを無料にてサポートします。
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シロアリ駆除はどの家も同じ?

家一軒一軒それぞれ造りや状況は違うので、どの家も作業の内容は同じではありません。シロアリ対策協会の防除施工標準仕様書は木部処理と土壌処理の2段階で薬剤による防蟻層を作り家一軒に対して有効な防除施工を行うことが基本理念とされており、実際には現場の防除施工士が裏付けとなる知識と経験を元に対象となる家の状況を考えた防除施工を行います。

シロアリ駆除の保証は?

シロアリ駆除に予防施工までが含まれた工事の場合は通常5年保証を行うことができます。建物や工事の内容によって保証条件が変わり、駆除だけを目的としたベイト工法や部分的な駆除法、建物の構造上通常の施工ができない物件に対しては保証がつきません。

シロアリ業者について